日本経済は復活なるか!
これからの日本経済を予測する。


1998年11月17日作成



 1990年始めバブル経済は崩壊した。以来日本経済は9年間危機的状態にある。
日本の景気停滞がアジア、アメリカに波及し、そして世界的恐慌の恐れが懸念されている。

 まずは日本の長引く不況の原因を追求し、これからの日本経済を予測する。
低金利政策と土地神話からバブルが生まれ、そしてまたそれがバブル経済を崩壊した。
バブル経済が崩壊すると当然のごとく景気は後退し、企業収益は悪化し、株価は下落した。
 さらに土地神話崩壊により地価は下げ止まらず、金融システム不安を引き起こすきっかけとなった。
銀行の貸し渋りの主な原因は、地価下落による担保価値下落と不良債権であるが、それに追い討ちをかけるようにBIS規制による自己資本比率の制限である。
 自己資本比率は株価下落により邦銀の自己資本を減少させ、また、景気後退と低金利政策により円安が進行し、海外融資の不良債権を邦貨建で膨らませ、自己資本比率を分子・分母の両面から直撃する結果となり、邦銀はそれに対する防御策として必要資産を圧縮して自己資本比率の改善を図っている。つまり、貸し渋りである。
銀行の貸し渋りが企業の調達資金を圧迫し、景気後退に拍車をかけている。

 銀行の貸し渋りはアメリカでも1991年から1993年にかけてあった。
当時グリースパンFRB議長のとった対応は、プライムレート(FFレート)をひき下げることにより銀行の利益を創出して貸し渋りを解消した。また、少数の経営の悪い銀行を整理した。

 アメリカは日本の銀行の貸し渋りに対しても経営の悪い銀行を整理するよう要請してきた。無条件に全銀行に公的資本注入をするなどもってのほかだ!と言うことのようだ。
 しかし、アメリカと日本では状況が違う。アメリカは極少数の経営の悪い銀行であったが、日本はほとんど全ての銀行が経営不振に陥っており、全ての銀行に公的資本注入をしなくてはならない状況なのである。
銀行は重要な金融システムを担っているため、潰すわけにはいかないのである。
北海道拓殖銀行の経営破綻が北海道経済に及ぼした影響を忘れてはならない。日本経済全体に同じ状況を創ってはならないのである。
アメリカも最近やっとこの事に気づき公的資本注入を指示している。
日本のこの政策原案は国民の公的資本注入に対する理解をある程度取りつつ、わずか2〜3ヶ月でかたまった。世界的にも異例の速さであり、間違った政策ではないのである。
 また、財政支出についても1990年からの日本経済停滞状況から効果のない財政支出などやめろ!と言った意見が続出し、政府は財政支出を削減して財政再建を図ったが、日本経済にはそれに耐えうる体力がなく失敗に終わった。政策の失敗、時期早尚であった。
 財政支出の効果はそれなりにあったのである。もし、1990年当初から財政支出を打ち切っていたら日本経済は停滞どころか、大きく後退していたことであろう。
従って、財政支出も景気回復にはなくてはならない政策なのである。


 政府は11月16日、約24兆円の緊急経済対策を決定した。

@銀行の貸し渋り対策 6兆円
A財政支出 8兆円
B減 税 7兆円
Cその他 3兆円
合  計 24兆円

この緊急経済対策は、日本経済を復活させる効果があるか!

個々に検討して行くと

@銀行の貸し渋り対策
 BIS規制の分子面からもある程度期待できる。
 また、11月14日付、日経新聞記事に「経営不振に陥っているゼネコン準大手のフジタと同社が筆頭株主になっている藤和不動産は、主力取引銀行の東海銀行、さくら銀行による債権放棄を軸にした抜本的な経営再建に乗り出す見通しとなった。
公的資金導入による資本増強策を受け、金融機関が債権放棄に踏み込んでゼネコンを支援する初のケースとなる。」とある。
こうしたケースはこれからも出てくるであろうし、この政策の効果の現れであろうと言える。
 但し、やはり早期に不良債権を処理しなくては、貸し渋りはまた、再発するであろう。
 不良債権処理と言っても、単に引き当てを積むと言った方法ではなく、少しでも回収可能性のある不良債権は資金化し、回収可能性のない不良債権は公的資金を基に消却しなくてはならない。
 不良債権は川で例えれば川の流れを遮るゴミや石であり、人間で言うと血液の流れを遮るコレステロールのようなものであるため、早期にそれを取り除き、資金の流れを良くしないと資金は、また、滞留してしまう恐れがある。
 また、長期的には、企業は(銀行も含めて)自助努力で長期の資本市場での資金調達を実施しなければならない。

A財政支出
 先ほども触れたが、財政支出は景気回復にはなくてはならない政策なのである。
支出の効果は、今年4月に導入された16兆円の経済対策の効果と合わせてそれなりにある。
 しかし、ここで問題ながその支出の内容である。必要のないダム、空港、新幹線、などは第二の旧国鉄清算事業団を創りかねない。
内容のないばらまき予算では経済に対する乗数効果が薄れてしまうのである。
 緊急を要するためにある程度は、ばらまき予算も致しがたないが、今後は、すぐに着工可能な事業に走らず、地方自治体との調整も密にした中長期の都市計画に沿った事業などへの配分が必要である。

B減 税
 これは、単発的なものであれば効果も単発的となる。ある程度、恒久的なものでなくてはならない。
 なお、消費税は減税若しくは廃止するとかなりの効果があるものと思われる。
最近の大手スーパーなどの「消費税分還元セール」の盛況ぶりは目を見張るものがある。
消費者の消費税に対する要望そのものではないか。直間比率の問題はあるがそれは他のところで調整すれば足りる。


 いろいろ論じてきたが、結論を言うと日本経済はある程度復活する。
但し、上記@からBの内容をクリアーしないと単発的なものに終わってしまう可能性が高い。
 それでは復活はいつ頃からかと言うと、政策の効果が現れるのは政策実施期間も含めると6ヶ月から1年かかる。
 従って、来年暮れから再来年にかけてであろう。
 さらに、来年1月1日から欧州は統一され統一通貨ユーロが誕生する。
これにより世界の基軸通貨であったドルは少なからず影響を受け下落するであろう。
円もドルに引きずられ下落するであろう。その影響は未知数である。
よって、今年暮れから来年は一段と厳しい状況となろう。

以 上
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