私小説風 たたら日記   逐電

たたら日記
「 すぎだま 」 が 温めていた 「 たたら 」 に関わる話題を、 私小説風 「 たたら日記 」 の形に しました。

「 たたら 」 や 「 日本刀 」 に関わる事柄などを、 載せています。

 26   村正と刀剣解説             平成17年 3月22日(火)
               _
 
互の目刃 村正解説
 
 村正を話題としてきたが、 それにあわせて、 村正を掲載する図版などの 「 刀剣解説 」 を勉強したいと思う。
 
 書籍から、 村正を解説する部分を引用して、 それに注釈を加える形で進めたい。 注釈が長くなると、 読みにくい。 手始めに前もって、 関係する用語をここにまとめる。 刀剣の用語を、 事前に少しずつ慣れておく方が、 少ない負担で済み勉強にもなる。
 
 日本刀と言えば、 「 刃文 ( はもん ) 」 の美しさが特徴である。 解説においては、 刃文に触れずにおかない。 その刃文の意味を調べてみる。
 
 ( 刃文 )
 「 刃文は大別すると、 直刃と乱れ刃の二つになる。」
 乱れ刃 ( みだれば ) には、 弯れ刃 ( のたれば ) 、 丁子刃 ( ちょうじば ) 、 互の目刃 ( ぐのめば ) などその他にもいろいろあり、 極めて種類が多い。
 
 互 ( 五 ) の目刃 ( ぐのめば ) : 「 乱れの頭が円く、 かつ高さが大体揃っている。」  図 「 互の目刃 」 の刃部における下部のように、 「 碁石を並べて横から見た恰好 ( かっこう ) に似ているので、 『 碁の目刃 』 と書くのが正しいともいう。」 ・・・ 読みはすべて 『 ぐのめば 』 となる。
 
 「 五の目乱れはその形の大小によって、 『 大 ( おお ) 五の目刃 』 と 『 小 ( こ )五の目刃 』 にわける。」
 図 「 互の目刃 」 の刃部のうち、 上部の 「 小五の目刃 」 がよく揃ったものを、 『 数珠刃 』 という。 「 数珠を横から見たように思えるからである。」
 
 村正の刃文と言えば、 「 乱れ刃 ( みだれば ) 」 の、 「 互の目刃 ( ぐのめば ) 」 や 「 弯れ刃 ( のたれば ) 」 が主になる。 ・・・・・ 
 右図は、 「 互 ( ぐ ) の目刃 」 の例だ。 「 互 ( 五 ) の目刃 」 の最も規則的な姿のものを、 引用した。 参照してもらいたい。
 
   福永酔剣著 「 日本刀鑑定必携第二版 」 より
 
 刃文は、 刃先と地との間にあって、 「 白く輝く直線または曲線状のもの 」 を指す。 刃文を表現するときには、 全体に白く輝くもののが示す線状のものの状態 ( 刃文 ) と、 白く輝く部分を細かく見た場合の状態 ( 沸え、 匂い ) とが、 あわせて示される。
 
 ( 沸え、 匂い )
 白く輝く部分を目をこらして細かく見ると、 刀によっては、 粒々になっているものや、 霞がかかったようにかすんで見えるものがある。 それで、 白く輝くものを、 沸え (にえ) と、 匂い ( におい ) とに分ける。 「 刃文を上から見て、 粒の一つ一つを見分けられるのが 沸え ( にえ ) 」 で、 「 見分けられないのが 匂い ( におい ) 」 という。
 さらに、 粒が見分けられる 「 沸え ( にえ )は、 「 粒子の大小によって、 荒沸え ( あらにえ ) ・ 小沸え ( こにえ ) 」 に分ける。
 
 徳川美術館所蔵の 村正 は、 68.8センチメートルの刀で、 作風として、 『 刃文 ( はもん ) は小沸え ( こにえ ) つき 皆焼刃 ( ひたつらば ) の華やかな出来 ( でき ) 。』 と解説されている
 
 まず、 「 小沸え ( こにえ ) つき 」 の意味するところは、 刃文を細かく見ると、とても粒の細かい沸えが見られるということになる。
 次に、 「 皆焼刃 ( ひたつらば ) 」 だが、 これは刃文の乱れが非常に極端になったものを言う。 「 乱れの頭が切れて飛び焼き状になった格好のもの 」 と、 説明される。 刃文が鎬 ( しのぎ ) や棟にまで及び、 それでも納まらない程に、 刀全体に乱れた刃文が見られるものを言う。 ( ヒタ = 直 : すべて、 ツラ = 面 )
 皆焼刃は稀なものだ。 個人的な印象では、 皆焼刃はダイナミックな印象とともに、 乱れの極端さが見掛けの落ち着きのなさに強調されて迫ってくる。
 徳川美術館所蔵の 村正 については、 以上でとめておく。
 
 名古屋市熱田区にある 「 熱田神宮 」 の宝物の中にも、 村正がある。
 銘は 「 村正 」、 刃長 25.7センチメートルの 短刀で、 愛知県指定文化財に指定されている。 その作品解説を、 次に引用する。 なお、 参考に注記を次のように加えている。
( 例えば 注記 若干目障りかも知れないが ・・・ )
 
 『 永正 ( えいしょう ) ・ 大永 ( だいえい ) ( 1504年〜1528年 ) 頃に活躍した伊勢国桑名の刀工 千子 ( せんご ) 村正 二代の短刀である。 村正の作風は ふくらの枯れた( 切先の刃に曲線のふくらみをつける具合が少なめな ) すすどい ( 鋭い ) 造込 ( つくりこみ ) が多く、 互の目 ( ぐのめ ) や のたれ ( のたりのたりと、 うねるようにゆるやかな起伏をしめすもの ) の谷が刃先に迫り、 しかも匂口 ( においくち ) 締まって 匂いの幅の狭いものを言う 冴え、 表裏の刃が揃う特徴がある。 また、 業物 ( わざもの ) 即ち、 切れ味の良い刀として知られ、 さらに徳川氏に祟る妖刀としても名高い。 』
 
  ※ 参照  熱田神宮文化部編  「 熱田神宮の宝刀 −鑑賞のしおり− 」 
 
 同じ村正の短刀をさらに詳しく解説したものを、 引用する。
『 平造 、 庵棟、 常寸ながら僅かに反る。 』  平造 ( ひらづくり : 鎬も横手もなく、 平面ばかりの造り込み。 短刀や小脇差によく見られる。 )
 庵棟 ( いおりむね : 棟の山形が庵のごとく、 △のように三角の山になったもの )
 
( 地肌 )
 『 板目 ( 木目のように大きく不規則な丸い文様を示すもの。 ) 流れて ( 「 板目肌が柾に流れる 」 〓 ( 鑑定の重要な見所 ) : 板目肌の上端又は下端が切れて柾目状に伸びて ) 柾ごころの肌が交じり、 総体に肌立ち ( 「 肌立つ 」 : 鍛え目がよく鍛着せず、肌理 ( きめ ) がはっきり現れているもの ) ごころとなり 』
 
( 沸え ・ 匂いと働き、 刃文 )
 『 白気映り ( 「 地映り 」 : 鎬寄りに白い息を吹きかけたように見える ) 立つ地鉄に、 匂口締まり 匂いの幅の狭いものを言う ごころに小沸のついた 「 互の目乱れ 」 を焼き、表裏が揃う。』
 
 『 帽子はすぐに小丸に返る。』 〈 乱れ込み、 先丸く長めに返る。 〉
 『 村正は室町時代の中頃、 伊勢国桑名郷 ( 現三重県桑名市 ) に興った千子一派の統領である。 』
 
  ※ 参照  熱田神宮文化課編集 「 熱田神宮名宝図録 」
 
 以上、 刀剣解説を理解するために注記を入れてみた。 自分なりに理解しやすくなったと、 思っている。 しかし、 これでどうしたというわけでもなく、 締まらない。 これ以上は、 自分でも何を求めているのか、 整理できないでいる。 そろそろ、 この話題を終える潮時なのだろう。
 
 さて、 村正を追いかけてみたが、 何か分からないままに、 まとまりのないものになった。 村正妖刀説に迫れるように努めたが、 成果が得られない。 不満が残るが、 とりあえず、 これで村正を終える。
 
2005年4月2日__
 
 「 刀剣解説 」 を理解するにも、 これ程に多くの用語の理解が必要だった。 付焼刃なのは、 改めて言うまでもなくお分かりのことだろう。 「 村正 」 について散漫な話で終わるのも、 やむを得ないことかと納得する他ない。 できの悪さを感じているが、 工夫する勘どころがつかめていない。 その点は、 後日の宿題としておく。
2005年5月7日加筆
 
※参考文献
 @ 徳川美術館編集  「 新版 徳川美術館蔵品抄B 刀剣 刀装具 」
 A 熱田神宮文化部文化課 福井款彦編集  「 熱田神宮の宝刀 −鑑賞のしおり− 」
 B 熱田神宮文化課編集 「 熱田神宮名宝図録 」
 C 福永酔剣著  「 日本刀鑑定必携 第二版 」   雄山閣出版


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