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平成12年1月17日の独り言「プリンストン債(その29)」
熊谷被告は自らの財テク取引の失敗を取り戻そうと、よりリスクの高い取引に手を出し、損失を膨らませていった。当時のヤクルト本社の役員らは「取引の拡大は危険で早く撤退すべき」と忠告した時期もあったようだが、「株価は必ず回復する」と反論され、結局制止することは出来ず、粉飾や不正を働く同被告の暴走を止めるには至らなかった。
関係者や社内調査報告によると、同社は83年頃から財テクを始め、運用は熊谷被告に一任。当初は好成績を上げ「財テク上手のヤクルト」ともてはやされる時期もあったが、例に漏れず、89年の年末を境に坂を転げ落ちた。特定金銭信託に含み損が発生し、他の役員からは財テクに批判的な意見も出たが、桑原元ヤクルト本社会長も結局熊谷被告を止められず、了承した形で取引は続けられた。
損失を取り返すために、熊谷被告は91年以降、よりリスクの高いデリバティブ取引にも手を出し、泥沼にはまって行く。プリンストン債の購入も始め、約5億円のリベートを受け取る。さらに香港子会社の財テクで得た利益約7億円も横領。感覚が、だんだんと麻痺していく様子が窺える。
一方でヤクルト本社は94年後半の株価下落からデリバティブでも多額の含み損失を抱えて行く。監査法人や経理担当取締役は取引からの撤退を再度、進言したが、熊谷被告は「無傷で切り抜けたい」と聞き入れず、96年秋にも「やみくもに損失を出して即時撤退することは出来ない」と譲らなかったらしい。彼にしてみれば、「会社が損しても自分にはリベートがザックザック、入って来る訳だし、無リスクでこんなに美味しい立場を、そう易々と放したくはない」、というのが本音であっただろう。
熊谷被告はこれから5つの罪で裁かれることとなるが、元国税庁出身の確信犯ということもあり、相当厳しい処分が下されることとなろう。また、過去のこととは言え、粉飾決算、有価証券報告書虚偽記載ということが表面化したことにより、ヤクルト本社の株式取引が昨年末、一時ストップし、管理ポスト入りしてしまうということまで起こった(今は通常取り引きに戻っている)。先日もコメントしたが、リスク管理体制の不備は大きな代償を企業に負わせる結果となったようだ。
平成12年1月14日の独り言「7000件達成」
本日「あるファンドマネージャーの独り言」へのアクセス件数が7000件を突破しました。ありがとうございます。それと、ふと気が付けば1月11日で、このサイトを立ち上げて丸2年が過ぎました。あっという間の2年でしたが、その間に延べ7000件のアクセス。淡々と1日約10人の方に訪れて頂いたということですね。重ねて厚く御礼申し上げます。
ところで、金融情報交換室を先頃、リニューアル致しました。今までの書き込みページも当面、残しますが、新しい交換室への書き込みをお願いします。今までの、交換室にセキュリティの問題でアクセス出来なくなるというケースが起りまして、やむなく新しいものを設置しました。非常に優れた美しいBBSで、気に入っています。
書き込み方は、先ず最も下までスクロールして頂いて、右下の{書込}ボタンを押せば書き込みフォームが現れますのでご自由に書き込んで下さい。皆さんの遠慮なき書き込みを期待します。
これからも、より高度な情報提供のできるGLOBAL BONDS SITEを目指して頑張りますので、皆さん、サポート宜しくお願いします。 tetzu
平成12年1月13日の独り言「プリンストン債(その28)」
昨日もお伝えしたが、証券取引等監視委員会は元ヤクルト副社長熊谷被告と元クレスベール東京支店瀬戸川被告、および法人としてのヤクルト本社を証券取引法違反(半期報告書の虚偽記載)の罪で東京地検特捜部に告発した。ヤクルト本社の97年9月中間決算でプリンストン債の償還で生じた約95億円の損失を隠し、同期決算を粉飾したとされる。告発を受け特捜部は12月28日に追起訴した。
証券取引等監視委員会の調べによると、ヤクルト本社は97年夏頃、保有していた額面約219億円分のプリンストン債を解約し、同支店から償還金約124億円を得た。しかし、同年9月期の半期決算報告書には同債を保有したままであるように記載し、額面と実際の償還金の差額である約95億円の損失を隠したとされる。この結果、同社の同期の決算は実際には47億円の赤字であったが、48億円の黒字と計上された。
粉飾の手口は熊谷被告が持ち掛け、瀬戸川被告は実際に運用を続けているように見せかける虚偽の報告書をヤクルト本社に送っていたらしい。熊谷被告は当時同社の財テク部門の責任者でこうした取引を独断で行なっていたようである。
熊谷被告はデリバティブ取引で失敗した巨額の損失の穴埋めとして、同債券の償還金を充てており、こうした取引による損失が表に出るのを防ぐために粉飾を行なっていたと見られる。結果的にはデリバティブ取引などで失敗して作った損失は隠し切れない程巨額なものとなり結果的に同社は98年3月期に1000億円を超える特別損失を計上するはめに陥っている。
熊谷被告は社内の役員会議などでも虚偽の報告を行なっていたともいわれているが、結局、財テク担当責任者の暴走を見抜けず、また、止められなかった経営もずさんであることは言うまでもなく、リスク管理体制の甘さが指摘出来よう。この続きは来週に…。
平成12年1月12日の独り言「プリンストン債(その27)」
昨年、年末も押し迫った28日、東京地検特捜部は元ヤクルト本社副社長熊谷被告=所得税法違反(脱税)、業務上横領の罪で起訴済み=を商法違反(会社財産を危うくする罪、特別背任)と証券取引法違反(半期報告書の虚偽記載)の3つの罪で追起訴、元クレスベール証券会長、瀬戸川被告=脱税の罪で起訴済み=を共犯として特別背任と証券取引法違反の2罪で追起訴した。法人としてのヤクルト本社も証券取引法違反罪で起訴した。
起訴状などによるとヤクルト本社の財テク部門の責任者だった熊谷保国はバブル崩壊による有価証券の含み損を取り返すため、スイス銀行などとの間でデリバティブ取引を実施。担保として97年〜98年、ヤクルト本社が保有する株式や預金計208億円余りを銀行側に提供したらしい。
財テク失敗による個人の刑事責任追及は異例であるが、特捜部は熊谷被告が社内の反対を押し切ってリスクの高い取引を続けた点を重視。営業の範囲外の投機取引のために会社財産を使うことを禁じた「危うくする罪」に該当すると判断したようだ。
また、熊谷被告は95−97年、プリンストン債購入の見返りに瀬戸川被告からリベート提供を持ち掛けられ、約5億3千万円を個人的に受領した。熊谷被告は本来リベートをヤクルト本社あてに支払わせるなどの任務があったにもかかわらず、その任務に背きヤクルト本社に損害を与え自分で利益を得た、とされている。
更に、証券取引等監視委員会の調べで、熊谷被告が97年9月中間決算でプリンストン債の解約で生じた約95億円の損失を隠し、決算を粉飾していたことも判明。損失を表面化させないため、半期報告書にそう債券を保有したままであるように記載したらしく、また、瀬戸川会長は熊谷被告の以来を受け、虚偽の運用報告書をヤクルト本社に送っていたようである。関係者によると熊谷被告は特別背任と粉飾については容疑を大筋で認めているが、会社財産を危うくする罪については犯意を否認しているようだ。
それにしても、熊谷被告については合計5つの罪で起訴するなど、特捜部も“やったな!”という感じがする。しかし、米親会社のアームストロング被告が虚偽の運用報告書をリパブリックニューヨークに作らせていたとされているが、東京支店は東京支店で虚偽の運用報告書を作成していたとは恐れ入った。粉飾決算疑惑については明日の独り言で…。
平成12年1月11日の独り言「プリンストン債(その26)」
昨年12月20日、プリンストン債の購入を巡り脱税で既に逮捕されている元ヤクルトの熊谷容疑者が脱税に加えて業務上横領の罪で追起訴された。特捜部は差し当たって「脱税」で逮捕後、取り調べを行なっていたが、熊谷容疑者が香港子会社の資産を私的に流用した容疑を固め、同容疑者が着服の事実を大筋でみとめたことから、「脱税」での拘留期限が切れる20日に追起訴に踏み切った。
香港子会社から着服した額は2年間で7億数千万円に上ることも分っている。子会社の取引を自らの資金で行なった様に装い、ペーパーカンパニー名義の口座に振り込ませていたとされる。関係者によると熊谷容疑者は「ヤクルト本社の副社長を務める一方、91年からは香港子会社「ヤクルト・インターナショナルHK」の会長職を兼務。この際、同社の資金で行なったデリバティブ取引の一部に自分も便乗したことにして、運用益を同容疑者が財テク専用に利用していた香港にあるペーパーカンパニー名義の口座に入金。93・94年の2年間で合計7億数千万円を流用していた。横領した金は不動産購入のための借金返済や個人的な財テクに充てられていたらしい。
横領容疑は熊谷容疑者の資産の状況を捜査する過程で発覚。香港の口座に多額の入金があったことから特捜部が追求したところ、同容疑者は横領の事実を認めたという。
熊谷容疑者は、クレスベール東京支店から受け取ったリベートなど約5億9千万円を税務申告せず、3年間で約2億5千万円を脱税したとして、11月29日に瀬戸川容疑者とともに逮捕されていた。同事件では、熊谷容疑者が受け取ったリベートが本来ヤクルト本社に帰属するもので、同社に損害を与えた商法違反(特別背任)の疑いも持たれている。特捜部は両容疑者を20日に起訴した後、リベートの授受が同罪に適用できるか更に調査検討するようだ。当局の捜査も、かなり力が入って来た。
平成12年1月7日の独り言「プリンストン債(その25)」
元クレスベール証券東京支店会長、瀬戸川容疑者が昨年1月の秘密会議で「顧客の債券の償還期限までに別の顧客から新規の投資資金を集めろ」と部下に指示していたことが昨年末の当局の調査で判明した。米捜査当局によると、当時は既に同支店の米国親会社会長が資金運用に失敗、損失穴埋めのために日本企業の投資資金を流用していた時期。特捜部は会議内容を記したメモを押収し、同容疑者が米国での損失発生をいつ知り、どう認識していたか、慎重に調べる方針である。
瀬戸川容疑者は「顧客の債券の償還期限が年度末の3月に集中している」と説明し「それまでに別の顧客から新規の投資資金を集めろ」と強い口調で指示したという。特捜部は会議に参加した資本市場部幹部が残していた瀬戸川容疑者の発言内容を記録したメモを押収した模様である。これが事実であれば、逮捕前の9月の会見で事件が発覚するまで親会社の巨額損失に全く気付かなかったというのは真っ赤な嘘であり、クレスベール証券側がプリンストン債は償還不能になる恐れがあることを知りながら、親会社の会長であるマーティン・アームストロング容疑者の自転車操業計画に荷担していたこととなり、明らかに「詐欺罪」の疑いが出てこよう。
一方、特捜部はクレスベール証券から巨額のリベートを受け取っていた元ヤクルト本社副社長の熊谷容疑者についても脱税容疑の解明に加えて、リベート分を上乗せしてプリンストン債を購入し、同社に損害を与えた商法違反(特別背任)や、香港の子会社の財テク運用益約6億円を私的に流用した業務上横領の疑いでも捜査しているようだ。
特捜部は事件の中心人物である瀬戸川容疑者と熊谷容疑者の2人を、取りあえず手っ取り早い(立件し易い)脱税容疑で逮捕したが、どうやらこれからが本当の捜査のようである。かなり詳細な解明がなされようとしている。2容疑者にはまだまだ厳しい捜査が待っている。
平成12年1月6日の独り言「 Yoshihide'sレポートUS.comD」
何れにせよ、懐疑派の最右翼に数えられてた者でさえ今では、米経済は過去数年でとんでもなく生産性が上がっているという事実に同意している。ここで形成されつつコンセンサスというのは、つまりこうだ − 米経済の生産性の伸びは、1970年中頃から始まった緩慢な成長期をさし当っては脱し、労働者1人当りの生産量の増加率は、かつて1950・60年代に記録した頃の(高い)数字に戻っているというのだ。これが持続するようなら、本当に歴史的な転換と言えるだろう − 。
こうした変化を生んだ諸要素のうち最も重要なのはおそらく技術(革新)だろうし、現に一番着目されている。だからと言って、米経済がかくも重要な転換期を迎えつつあることを、これ(技術革新)のみで説明し得るということではない。仮に技術革新の新たな過程にはまっただけだというなら、他の国々でも同様の発展を記録して然るべきだが、今のところそういう形跡はない。
実際、米の営利組織(会社)は1990年後期に新たな地平に足を踏み入れた ― 其処では根本的に違うやり方で経済的成果が上がるようになるような ― が、そこに至るまでには決定的な要素が他にも幾つも働いている。以降2日でこれらについて追ってみる。
(続)
yoshihide氏から今回届いたレポートはここまでです。生産性の向上は米国だけでなく日本でも明らかに高くなっていると思われます。ファックスで送ってもらっても困る膨大なデータでもe-mailで送ってもらえば、すぐに利用可能となるし、加工・分析・解析が出来るのです。企業の在庫管理などはリアルタイムで出来ますし、21世紀の世界経済は景気の波も小さく、インフレも起こりにくいものとなっていく可能性が高いのではないでしょうか。
何か第3幕までありそうなレポートですが、今後もyoshihide氏より届き次第、掲載してゆきたいと思います。
平成12年1月5日の独り言「 Yoshihide'sレポートUS.comC」
「私の見るところでは、確かに瞠目すべき成果が上がっていた。しかしコンピューターや他の技術関連品目を除いてみれば、(生産性の向上に)加速傾向など全く見られなかった。」
ゴードン調査では、コンピューターのハード&ソフト製造、それに他の関連業種といった、いわゆる『ハイテク産業』では、生産性の伸びは過去5年間で40%を上回る数字を上げている。一方で製造業やサービス業では単位時間当りの生産量の伸びは年率1.75%程度でしかなく、これは1970、80年代の数字と全く同じだった。
ゴードン調査は大いに物議をかもしており、殊に経験のみに頼って(学説を組み立てて)いる輩には大きな障害(a significant empirical roadblock)となっており、これを超えずしてニューエコノミー騒ぎには加われぬといった具合だ。
ゴードン調査に対する著名経済学者の反応だが、その方法論には問題なしとしながらも、「産業界の90%はとくに目立った進化も遂げずにいる。」と結論付けているのは眉つばものとする者が大半だ。
米財務長官ラリー・サマーズも − 実は彼自身ニュー・エコノミー論にはとりわけ慎重な立場を堅持してきたのだが − 今では、これまでに起きた経済構造の変化はかなり広範囲に及ぶと考えている。ただハイテクなどの極く限られた分野を除き、(上がってくる)数字は統計的に信憑性が薄く、この点が問題だと考えている。
「他分野に比べ、ハイテク産業の方が統計がうまく取れているというところじゃないでしょうか。これまでも、全分野で生産性を測ろうと思えば、並み大抵の難しさではありませんでした。」
同様のデータ(=労働生産性)を追いかけてきた経済学者はこの考え方に同意しているように見える。それどころかグリーンスパンは一歩踏み込んでいる。労働生産性に触れた最近のスピーチで議長は、この種のデータの多くは「信用のおけないものだ」と語ったのだ。ゴードン教授その他の研究者の使っているデータが問題なのは、それが『商業』全て − この中には自営業をも含む − で上がった生産性の数値をカウントしていることだ。
ゴードン調査に唆られるのは、同報告が「ことによると生産性の伸び、或いは(その帰結として)経済の潜在的(生産性成長)基盤は、ニューエコノミー派が考えているより高い可能性がある。」としているところだ。もし非ハイテク分野の伸びは今は過小評価されているのだとしたら、米経済全体の生産性の伸び率は本来、過去2年に記録した2.75%(年率)よりもっと高いのかもしれないのだ。
本当にそうだったかもしれない、とグリーンスパン議長は指摘する。全民間分野(除;金融機関)に関して修正を施した、より信頼のおける最新統計数値を基に、生産性の伸びは過去5年間で3%(年率)、直近2年では4%(同)近くに達していたと証言している。
「生産性の伸びに拍車がかかっているのは非金融セクター全般に広く見られる現象で、決してハイテク分野のみに限定した話ではない。ただ先進技術分野では恐ろしい位数字が高くなっているというに過ぎない。」
しかしグリーンスパン議長、あるいは他の経済学の権威も一様に、最新の数字にしても100%信頼が置けるという代物ではないし、加えて過去数年におきた生産性効率の驚異的上昇というのが長続きするするという保証は全くないのだ、と警告を発している。
平成12年1月4日の独り言「大発会」
今年も無事に明けましておめでとうございます。懸念されていた(期待していた?)Y2Kは金融マーケットでは何事も起こらず、欧州では一気にリスクアセットの株へ資金が入った。慌てた金利マーケットは売りで答えたが、今度は金利の急上昇にビックリした資金は株式市場から退去してしまうというてんてこ舞い…。忙しいマーケットとなっている。米国でも同様の動きのようだ。
日本も最初はまず、そういう動きになるであろう。但し、その後に何が起こるかである。この金利上昇の流れが本当に今年も続くのであろうか?年初の数日の動きに惑わされないように、心を強くして相場に望みたい。
今年もGANNを中心としたテクニカル・アプローチをサポートに相場と向き合っていこうと思いますので、皆様宜しくお願いします。
また、「あるファンドマネージャーの独り言」は特定少数の方を対象にしており、極力本音でマーケットを切って行こうと思っておりますので今後とも宜しくお願いします。金融情報交換室への書き込み、筆者へのメールは歓迎いたしております。どんどんご活用下さい。サポートも引き続きどうぞ宜しく!
tetzu