過去の独り言もみることができます。過去の独り言の目次はこのページの一番下にありまので、スクロールしてみて下さい。それでは、どうぞ!
平成12年11月22日の独り言「米国債券ポジション」
貿易赤字が予想を上回り7−9月期のGDPが速報値を下回るとの観測から買いが集まった。7−9月のGDPは上方修正されるとの見方が多かっただけに影響も大きかろう。しかし、今のマーケットはある程度投資家のロングも出来上がっており(某証券会社のクライアント・サーベイも先週、最近では最もネット・ロングが増加しており、今週も若干ロングの数が減少したとはいえ大幅ロングに変わりない)、景況感だけでは上値追いは難しい。
通常、前出のクライアント・サーベイがロングの時は逆に相場下落を警戒した方が良い場合が経験的にも多い。しかし、出来上がっているのはスティープニング・ポジションであり、フラットニングは想定されていない。そのため相場が大きく動くとすると、フラットニングであることが考えられる。
また、シカゴのスペック筋のロングが異常に積み上がっているのも明らかである。先物はロングがいればショートもいるのは当たり前。スペックがロングであると考えると、明らかにヘッジポジションの先物売りが多いということである。ヘッジが国債先物に大きく入っているということは、何らかのプロダクトをロングな投資家・トレーダーが、国債の先物でヘッジしているという構図が窺える。
従ってクレジットもののスプレッドが拡大傾向にある現状の傾向はヘッジ筋の買い戻し圧力を強めるということが想定できる。特に投資銀行の決算が11月末にあるということと、先物の限月交代が近づいていることがこの傾向を強めよう。スペック筋のポジションは利益になっており、すぐに利食いを入れなければならないというポジションは少ない。ヘッジ筋の先物買い戻しの方が先に行動を起こしそうである。そのため、国債の利回り急低下に要注意。特にヘッジは先物に入っていることから、先物の最割安銘柄に注目されたい。
平成12年11月16日の独り言「FOMC」
FOMCでは予想どおりインフレ警戒バイアスが継続された。マーケットは失望したというコメントが多いが、どう見ても債券買いのフレンドリーな内容。また、ステートメント発表後に起こったフラットニングに対しては「違和感を覚える」との意見が大勢となっているが、逆に当然のフラットニンクである筆者は見ている。
今回のステートメントからは雇用の逼迫からくる賃金インフレ懸念が払拭できるまで、潜在成長率を下回る水準まで成長が減速しても金融は引締めたまま放置する姿勢を確認した。
年初より筆者はFRBの政策の目的地(ここで言う目的地とはFRBの金融政策が潜在成長率レベルの巡航速度への減速を意図するものか、需給のインバランスを解消するために潜在成長率レベル以下まで一旦減速させるつもりなのか)について注目していたが、なかなか彼らの行動・発言からは掴みかねていた。
しかし、昨日のステートメントによってFRBの政策目的地は後者、即ち潜在成長率レベル以下まで減速を促すものであることが明らかになった。これはマーケットに大きなインパクトを与える可能性が大きい。
現状、米国の経済成長率はほぼ潜在成長率レベルまでスローダウンしてきており、来年度の見通しについても3%後半の正に潜在成長率レベルの落ち着いた成長が期待されている。所謂ソフトランディング・シナリオである。
しかし、金融政策当局が需給のインバランス、特に雇用の逼迫がおさまるまで潜在成長率を下回っても引締め継続を示唆したことは重要なことと考える。ましてや雇用指数は景気の遅行指数である。したがって、米の景気についてはハードランディングする可能性が高まったと認識する必要があろう。
ただ、今回のステートメントは明らかにグリンスパン氏がマイヤーを始めとする鷹派理事らに大きく譲歩して出したものであることは間違いない。「需給のインバランスを解消するためには潜在成長率レベル以下まで景気を鈍化させる必要がある」とする意見は、元来鷹派理事らの持っていた政策目的地であるからだ。
しかし、一方でグ氏は経済が急失速しかねないと判断される場合にはグ氏がいつでも行使できる「即時利下げ」のオプションを鷹派理事らから取り付けていることが考えられる。その場合にはインフレ警戒型バイアスを持ちつつ利下げということも有り得よう。現在のバイアスについては政策バイアスとは違うので一足飛びと表面的には見える政策変更も実行が可能であることには要注意だ。
昨日のステートメント発表後、マーケットは長期債の買いで反応した。景気減速感と新政権による大規模減税期待などを織り込みながらスティープニングのポジションを取ってきたマーケットにはショックが大きかったはずである。フラットニングが予想以上に進む可能性は引続き大きいことに注意する必要がありそうだ。
平成12年11月15日の独り言「ネットの利用方法」
「ホームページで何を考え、どう思っているのかをメッセージで伝えていきたい」。自民党の加藤紘一元幹事長がネットを利用して顔の見える政治家になろうとしている。政治の世界では「数の理論」が重要となことは常識であるが、ネットによって世論を動かし山を動かそうということである。
本人も「国民の常識に目線を合わせ、こくみんんと一大運動をしていきたい」と世論の盛り上がりに期待をかける。テレビなどのマスメディアが最も大きな情報散布の媒体であろうが、ネットもその材料の一つである。というか、ネットでも行なっているということにより、より宣伝効果を上げる狙いがあろう。
10日に「緊急メッセージ」を掲載し、内閣不信任決議案への同調があり得るとの発言の真意を説明しており、今後も頻繁に更新する考えらしい。逆に本人も「インターネットや文字では伝えられない感性もある」とネット戦略がうまくいくかどうかには不安も覗かせている。
加藤紘一の降って沸いたような今回の突然の行動であるが、本人は「長いドラマの始まり、期待して欲しい」と語るが、筆者はちょっとした「はずみ」で成り行き上こうなってしまった。軽い嘘(本音)が重なってできた複合的産物であると認識している。
従って、彼は「長いドラマの始まり」と言っているが、その長いドラマの筋書き(ビジョン)はなく、成り行きまかせのドラマと推測する。取りあえず、人気の無い、支持率の低い森内閣は世論を動かせば倒せると踏んでいる程度と思われる。従って、この薄っぺらい行動はその後のストーリー展開が難しい。加藤氏は先のことについて敢えて話さないような素振りでいるが、話すことが無いという風に理解する方が分かりやすい。
>>続きは明後日に…(16日は米FOMCに対する投資判断のコメントを掲載する予定のため)。
平成12年11月14日の独り言「プライスラインドットコム」
先月のことであるが、インターネット上で航空券等を手掛ける米プライスライン・ドット・コムが、食料品・日用品ガソリンなどの販売事業から今週末で撤退すると発表した。また、中古品の競売事業を手掛けていた関連会社のパーフェクト・ヤードセールも清算する方針を明らかにしている。
同社は以前にもこの独り言で紹介した様に、消費者が商品・サービスの希望購入価格を提示して、供給側が応札するという「逆競売方式」のビジネスモデルを構築し、様々な分野に応用してきた。同社は食料品・日曜雑貨・ガソリンを関連会社を通じて販売していたが、販売中止に伴いこの関連会社は清算する。食料品は昨年秋、ガソリンは今年夏に営業を始め、米スーパー7,200店や6000個所のガソリンスタンドと組んで商品を提供してきた。
ネットで競売が成立すれば、同じ店のレジに並んでも他のお客よりも安い値段で品物を買えるという良さがあったが、手間が掛かるのが難点だったのかもしれない。日曜雑貨など、たまたまスーパーマーケットで買い物をするうちに、つい買ってしまうものも多い。事前に逆競売するなんて面倒である。特に今の米は景気が良く(少しピークアウトしてきているが)、国民の個人消費、購買意欲は衰えていない。そのような中では手間は悪だったかもしれない。不況下ならばもっと消費者の興味をそそってかもしれない。
また、携帯電話でその場で逆競売するのならば、直接店で価格を値切るのと同じで、最初からギリギリの価格で供給するディスカウントショップがあれば問題なしである。そういう意味では上記のような消費財には最初から向かなかったのかもしれない。
7−9月期の業績見通しを下方修正していたのに続き、今回の事業縮小の発表で、収益性などについて懸念が膨らんでおり、株価は1日で38%も急落するなど不安定な動きとなっている。
プライスライン・ドット・コムの持つビジネス特許は非常に面白いものであると思われたが、米のネットバブルが崩壊するにあたり、資本の回収に掛かる時間に余裕が無くなったのが事業縮小の要因であろう。現在、ネット・ビジネスにおいては、「当面赤字でも今は宣伝の期間で、そのうちゆっくりと利益は回収すれば良い」という甘い時間設定が許されなくなってきている。
平成12年11月13日の独り言「ECBポリシーを見直し」
11 月9 日に発表されたECB月報11 月号は、利上げ効果によるM3 伸び率の低下や、経済指標が示す成長鈍化の可能性を認め、同10 月号までの「成長鈍化は原油高による一時的なもの」という楽観的なスタンスを改めた。
また、8月に加速したECBのタカ派的物価抑制スタンスは、9月のECB月報で早くも変化が見られはじめていたが11月月報では更に「金融政策は依然緩和的」という従来のコメントが影をひそめ、ユーロのトークアップのためにタカ派的な発言が相次いだ10 月19 日の記者会見とも、大きくトーンが変わっている。
昨年の金融引き締めへの移行は
という、ポリシーミックスであったが、ここへ来て原油高の影響から景気減速感が出る中、引き締め政策に限界が見え始め、ユーロ安を放置することはインフレ懸念を増大させ長期金利の上昇にも繋がることからポリシーの見直しを余儀なくされたと考えられる。具体的には
である。
[前回からの変化]
(1) 2日の理事会終了後の会見では「欧州でも7〜9月期の成長率は鈍化の可能性」を示唆。11月月報では更に「金融政策は依然緩和的」という従来のコメントが消えた。
ただ、ここで最も注意が必要なのはECBのインフレ抑制姿勢に対する信任の低下である。
ノワイエ副総裁は4日、「コア物価を重視」と発言した。これは本来FRBも持つ基本的考え方であり、通常時であればマーケットが受け入れることは十分可能である。しかし、現時点での、この発言はこれまでの政策責任の放棄とも取れECBの信任を揺るがす可能性がある。彼らが唱える「適切な対応」が介入を意図するものかどうかは定かではないが、失敗した場合には長期金利の上昇(ベアスティープニング)も考えられるということには十分に気を付けられたい。
平成12年11月10日の独り言「年賀はがき」
今年も年賀状が先週から売り出された。あっと言う間に、早一年が終わろうとしている。今年の年賀はがきの製造枚数は42億枚だそうだ。昨年よりも減っている。昨年は8千枚強の売れ残りが出たそうで、年始の挨拶を年賀状でする人の数が減少しているようだ。
その分、インターネット・メールでの年始挨拶が増えており、時代の変化を感じずにはいられない。パソコン普及率、インターネット人口の増加は急速である。
逆に、昨年よりのも2倍強に増加したのが、インクジェット・プリンター用年賀はがきである。こちらは昨年の独り言でもコメントしたが、パソコンの普及率の向上と、家庭用プリンターの画質アップによって利用者が増えている。昨年はちょっと出遅れただけで入手することが出来なかった。この傾向は都市部に多かったのも見逃せない。都市部でパソコンの普及率が高いということである。
昨年も指摘したが、インクジェット・プリンター用年賀葉書も普通の年賀葉書も同じ50円で売られている。コストは明らかにインクジェット・プリンター用の方が掛かっている。それを同じ価格で販売せざるを得ない、郵便事業というのは早く自由化・民営化し、効率を高める必要がある(ちなみにドイツの郵便事業はかなり自由化が進んでいるようだ。また、株式も公開する予定>>財政も更に良くなる――>日本も民営化して財政を良くすればいいのに!>>>民間の競争阻害も無くなるし…)。
年賀状の作成に早くも取り組んでいる方もいらっしゃるでしょうが、今年も年末にかけてプリンターの売れ行きがアップするのでしょうね。Canonさん、EPSONさんの“かきいれ時”ということです。
さあ、あと2ヶ月足らずで今世紀も終わりになりますが、貴方の21世紀のはじめの挨拶は年賀状ですか?それともe-mailですか?
平成12年11月9日の独り言「ディフェンシブ銘柄」
先月末、加ト吉(2873)が3150円(△80)と年初来高値を更新した。ハイテク株を手掛け難い相場環境となり、「外部要因に左右されないディフェンシブ銘柄という位置付けで物色が継続しているようだ」(準大手証券)という。好業績への安心感が強いうえ、「連結PER(株価収益率)は24.5倍で割安感もある」(大手)との指摘も聞かれる。マネックスメールでも加ト吉が年初来高値を更新したことが採り上げられ、解説が付けられている。
機関投資家の中には、ファンド内のキャッシュ(現金)比率の制限が設けられている為、資金をより効率的に、より利益が出るようにしなければならない。従って、成長株を売った資金は現金で所持しているのではなく、ディフェンシブ銘柄の買いへの資金流入が見られることがある。
一般的にディフェンシブ銘柄とは、食品、医薬品、電力、ガス会社などの業種の銘柄を呼ぶことが多く、これらの銘柄は景気動向に左右されにくい銘柄で、安定需要の業界。短期急上昇はあまり期待できないけれど、「安定需要」のため業績の落ち込みも小さく、大きな損失も受けにくい。また、景気(ビジネスサイクル)の波にも影響を受け難く、景気モメンタムの下落局面で注目を浴びることが多い。
言い換えると、成長株に手を出せないとき、買い材料が少ない時に、ディフェンシブ銘柄が物色の対象となることが多いということだ。所謂、ファンドマネージャーの守りの態勢の表現ということになる。また海外の動向に不透明感が強まっているとも言われる最近では、海外景気動向に影響を受け難い不動産業などもディフェンシブ銘柄として物色されている様だ。
以前にも株価急進で「独り言」にも採り上げたことのある「加ト吉」であるが、冷凍食品など業績は好調で当然成長銘柄でもある。その上、業種がディフェンシブ業種であり二重に美味しいということから年初来高値更新となっているのである。良いとこ取りの年初来高値更新であるとも言えよう。以下は過去1年の加ト吉に関する注目材料です。ご参考まで…。
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2000/10/12 10:27 日本たばこ産業が加ト吉の発行済み株式の5.03%に相当する275万株を取得することと、両社が業務提携を行うことが10月6日に発表された。野村証券では、相互にメリットがあるがOEM供給を行う加ト吉にとって、工場稼動率アップによるメリットが大きいと見ている模様。
2000/09/04 15:00 堅調。グループ企業のカトキチプロパティーは、経営再建を支援する更正会社、京樽の株式の一部を吉野家ディー・アンド・シーに譲り、一方で、加京樽の全額出資子会社の中華料理店「王府井」株式を全株取得し、役割を明確にすると伝えられている。
2000/08/17 15:00 7月高値からの押し浅く新波動も。たこ焼、お好み焼の新ジャンル冷凍食品も好調で連結EPS129円。
2000/05/26 15:00 3日続伸。連日の年初来高値更新となっている。韓国の即席・カップ麺最大手「農心」と相手商品を相互に販売するなどの内容で業務提携を結んだと一部で報じられたことから買いが集まっているようだ。
2000/05/25 15:00 堅調。昨日発表した00年3月期経常利益が前期比36%増の118億円となったことを材料視しているようだ。
1999/12/08 15:00 京樽の再建計画が順調で、介護事業の拠点となることが期待される。
平成12年11月8日の独り言「ECB単独でユーロ買い介入」
欧州中央銀行は3日、欧州外国為替市場で断続的にユーロ買いドル売りの単独介入を実施した。プラハでのG7蔵相・中央銀行総裁会議直前の9月22日以来、約1ヶ月半ぶりの市場介入であるが、前回、米・英・日・加と協調して行なった介入とは違い、単独での介入となった(しかも、日本は休日)。
「中東緊迫による一時的なユーロ安には介入を実施することは無い」としていた欧州サイドから数日前より、「介入は適宜行なう」とする前向きな発言が目立ち、また、サマーズ米財務長官も「適切なタイミングでの介入を支持する」発言をしていたことから、マーケット参加者も“介入近し”とのイメージはあったと思われ、介入直後には0.88ドル台までユーロは急上昇したものの、その後は0.86台で落ち着いた動きとなっている。
欧州中銀は介入開始直後に声明を発表、「ユーロ相場がグローバルおよび域内経済に与える影響に懸念があるため」と説明した。一方、米サマーズ財務長官は「ユーロ安が世界経済に与える影響に関する懸念を共有している」とのコメントを発表した。また、サマーズは同時に、いつもと変わらず「長期的に強いドルを追求する米国の政策は変わらないことを再確認する」ということも付け加えることを忘れなかった。
初回の介入から1ヶ月半の時間を要したのは、米国との慎重な対話があったからに他ならない。初回の介入以降、米ドルの強さは変わらなかったものの、中東情勢が緊迫の度合いを深めたことや、米株式市場が軟調な展開となり、米からの急速な資金引き上げは更に米の市場を混乱することが予想されたからである。
従って、欧州サイドは米株式市場が落ち着きを取り戻したことを確認の上、米に対し介入を打診したものと思われる。それにより先週、サマーズが「適切なタイミングでの介入を支持する」とOKサインを示したことで準備が整い実現したのであろう。
また、米側は米経済のソフトランディングに通貨ドルのソフトランディングが不可欠であることを十分に認識していることから、決して性急なドル安が起こらぬようコントロールしてくるものと思われる。その表われが、サマーズ財務長官が付け加えることを忘れない「ドル高は国益」という言葉から読み取れる。従って、今後対ユーロでドル安を放置しつつ、但し、対円ではドル高へ誘導することも考えられることから注意を要しよう。
イラクの原油取引のユーロ決済移行など、マーケットが飛びつきそうな材料の発表の後だけに介入の効果がどのように効いてくるか見ものである。ここで介入並みのイラクによるユーロ買い、ドル売り10000本というのが出るとなかなか効くかもしれない…。引続き注意は怠れませんね!
平成12年11月7日の独り言「イラクが11月から原油価格ユーロ建てにA」
イラクの原油輸出高は1日平均ユーロ換算すると80Mil EURO程度らしい。一月当たり2Bil EURO強である。これは、直近の欧州の経常赤字の一月平均の額に匹敵する(数字が違うかな?)ことから、結構大きなインパクトとなることが予想される。
確かに決済通貨がユーロに変ったからと言って、それがダイレクトにユーロ高に繋がる訳ではなかろう。しかし、短期的にイラクはユーロを保有することに間違いはなくジワリとユーロ高に効いて来ることが考えられる。
また、ベネズェラ、ロシアも原油の決済をユーロに変更することに前向きらしく、今後この流れが続く可能性もある。ユーロはまだ、欧州域内でも実際に利用されている訳ではなく、2002年の1月から流通を始める。そのあたりに合わせて、ユーロが決済通貨として見直され、利用されはじめれば、ユーロを決済準備のために保有する向きは増えるだろう。
更に原油のマーケットは現在ドル建の市場であるが、これを機にユーロ建の原油先物市場などが創設されると、マーケットとしての厚みも出てきて、より面白くなってこよう。例えば現在のWTIの先物市場などは大変マーケットが小さく、投機の対象となることもしばしばである。
敵国通貨を持ちたくないというイラクの行動から端を発した通貨ユーロの動向に注目が集まるが、短期的なエスクロ勘定のドルからユーロへのEXCHANGEの影響や中期的なユーロ需要など不確定なことも多いことから引続き注意深く行方を見定めたい。
平成12年11月6日の独り言「イラクが11月から原油価格ユーロ建てに」
ブルームバーグ(原題:Iraq to Price Oil Sales in Euros From Nov. 1, Oil Minister Says、10月29日バグダッド発)によると、イラクのラシド石油相は29日、原油価格を米ドルからユーロ建てに切り換え、11月1日から実施することを明らかにした。同相は、国連がまだ承認していないものの、計画通り実施すると国営イラク通信(INA)が伝えたらしい。決済通貨をドルからユーロに変えることに国連の承認が要るのはイラクが国連による経済制裁を受けているからである。
同国は9月に既に支払い通貨をユーロに転換する計画だと表明していたが、その理由はドルが「敵国」通貨であるためということである。ただそれだけ。米国としては気分の良いものではないだろう。ただ、同相によると、国連安全保障理事会の常任理事国であるフランス、ロシア、中国はイラクの要請を支持しているという。
中東経済専門のニューズレター、ミドルイースト・エコノミック・サーベイ(MEES)は先週、国連の承認遅れを理由に同国が原油輸出を停止する「非常に大きな可能性がある」と伝えていた。国連はイラクに対し、決済通貨の変更に伴うコスト試算に時間がかかると打診していたが、結局30日の国連制裁委員会の会合でこの問題が取り上げられた。承認は降りたものの手続きに時間がかかることに変わりはなく6日以降からユーロ決済を可能にすることとした模様。
イラクはまた、ニューヨークにある仏銀BNPパリバのエスクロ勘定に預けている約106億ドルの資金をユーロに転換する意向であり、実施すれば9月22日のユーロ買い協調介入(約100億ドル)を上回る潜在的なユーロ相場押し上げ効果がある、とアナリストの間でみられている(エスクロ勘定とは、輸出業者が受け取った代金を輸入業者の所在地の銀行に預け、逆の取引の時に預けた金から支払われる預金勘定)。
>>>明日に続く
平成12年11月2日の独り言「原油価格高騰の日本への影響A」
確かに、直接的に原油価格の高騰が日本に悪影響を与えることはないかもしれないが、見落としてはいけないことは、日本の景気回復は内需主導でなく未だ外需頼みであることだ。従って、原油価格高騰によって世界経済の成長が鈍化するのであれば、結局日本の景気に大きな影響を与えるということである。ましてや、貿易のウエイトの高いアジアの景気悪化は日本にとって大きなネックとなる。97年にアジア危機で日本の景気にも赤信号が点ったを想い出す必要がある。
また、厄介なのは(有難いことではあるが)原油価格の高騰が直接的に日本の物価に影響を与える度合いが小さいために、インフレ懸念については、ほとんど無いということである。従って、今後じわりと世界経済の鈍化(アジア経済の鈍化)が進み日本に影響を与え始める場合には、日本では再びデフレ懸念が台頭し、景気鈍化とともに金利低下圧力をかけるということである。株価はその影響を既に感じ始めており、例えば東芝などは世界的な半導体市況のピークアウトからインテルと共に下落基調にあることなどにも、その一片が見られる。
原油価格の高止まりが長引けば、普通の国はインフレ懸念が払拭できず、金利低下圧力はかかりずらいのが普通である。しかし、前述の理由により、日本について言えば金利低下圧力が掛かることとなろう。日本債券市場は上値の重い展開が続いているが、意外なところに金利低下要因があることに気を付けておくべきである。逆に、日本株が下落している要因は米株式市場につられて下落しているだけだと勘違いをすると、こういった大きな要因・流れを見落とす可能性があるので気を付けられたい。
平成12年11月1日の独り言「原油価格高騰の日本への影響」
原油価格の高騰が世界各国のインフレ懸念と経済成長を阻害する要因となりつつある。特に、通貨ユーロ安の続く欧州圏ではその懸念も強い。特に、原油がドル建で取引されるために原油価格が上昇すれば欧州の支払い代金は増加し、ドルの需要は高まる。OPEC諸国に対する貿易赤字が増加することは構造的にユーロ安を招くのである。ユーロが安くなればなるほどユーロ建では多額の支払いが必要となり、ユーロ圏内での石油価格は上昇する。インフレ懸念は膨らみ、個人にとってはエネルギー代金が嵩む分、可処分所得が目減りし、消費が減少する。増税と同様の効果を内需に与えることとなるのだ。
影響は欧州だけには留まらない。原油価格の上昇はアジアなどの発展途上非産油国にも大きな影響を与えている。これらの国の原油需要が現在の原油高の要因のひとつとも言われているが、発展途上国のエネルギー効率は悪く大量の原油を消費しているのも事実である。韓国なども原油の高消費国であるが、原油高の影響は深刻である。
さて、日本にとっての原油価格高騰の影響はどうであろうか?為替は対ドルで安定しており、70年代に起こったオイルショック時と比べて原油依存度は格段に落ちている。電力も原子力発電等が普及している。また、米では石油精製にについて精製所の設備稼働率が上限に達していることなどもガソリンなど最終消費価格を押し上げているが、日本では設備稼動について余力があり、米ほど逼迫していない。従って日本経済に与える影響は限定的と言われることが多い。本当にそういう解釈で良いのであろうか?答えは「NO」である。
>>この続きは明日の独り言で…。