都市型水害・ゲリラ豪雨の被災者になって

Part4 都市型水害・ゲリラ豪雨 Q&A

 2004年の夏は、北陸地方や四国地方で水害が多発しました。そのせいか、急にマスコミなどからの質問や問い合わせが増えました。
 類似の質問が多いので、それに対する回答を載せておきます。

(初版:2004年8月 台風16号の沖縄接近中に)

土嚢に比べて利用しやすい水嚢に興味を持ちました。どの程度役立ちますか。

 私は東京都推奨ゴミ袋を2枚重ねて使っています。意外と丈夫です。土嚢と異なり普段はじゃまにならないのも長所です。しかし欠点もあります。
 水深2030センチぐらいまでの浸水を防止するために、ダンボールや板と組み合わせて利用してください。ただし絶対的なものと考えず、浸水までの時間をすこし稼げる程度と思ってください。
 また、水に浮いてしまうという大きな欠点があります。
 特に
水深が30センチ以上になると、水嚢の中に空気が入っているので、水に浮かんでしまい役に立ちません。当然堤防が決壊して起きる水害に対しては、全く無意味で役立ちません。

都市型水害・ゲリラ豪雨に対しての自衛策で、一番大切なことは何ですか。

 まず洪水(水害)ハザードマップを入手して、自宅が何センチ程度の浸水の可能性があるのか確かめることです。その程度で自衛策の方針を決めます。
 例えば
水深1メートル以上なら、スムーズな避難が出来るように、日ごろから準備が必要です。
 
水深30センチ未満なら、水嚢などの準備をしておけば、多少の雨なら被害を受けることはないでしょう。
 
被害を受けない地区でも、半地下、地下のある建物は被害にあう危険がありますので注意してください。

 洪水(水害)ハザードマップは、都内では神田川水域の新宿区、中野区や練馬区で作成しており、また水害の多い自治体でも作成しています。今後全国に広がっていくと思います。

水害発生時の警報伝達についてどう思いますか

 まず、防災無線は、通常の外部にスピーカーが設置されているので、ゲリラ豪雨の際は雨音が激しくて聞こえず、役にたちません。
 家の中に防災無線のスピーカーが設置されている場合は聞こえますが、異常気象の警報発令は遅れがちなので、住民側としては行政からの警報等に頼らず行動することが重要です。
 ホームページによる情報収集は非常に役立ちます。特にリアルタイムの気象情報は活用すべきです。かつては回線がビジー状態になることがありましたが、現在は改善されているようです。
 最近ではテレビで大雨警報等をテロップで流していますので、これを軸に考えていくべきでしょう。

199972122日の水害の際には、行政は大雨に対してどのような応急処置をしたのでしょうか。

 こうした場合、行政のやるべきことは、大きく2つあります。
1)被害を防止する措置、さらに被害が拡大しないような措置をすること
 土嚢を積むなどが考えられます。台風による豪雨の場合はあらかじめ準備できますが、突発的に発生する集中豪雨の場合は、間に合わないのが通常です。
 行政としての担当は、東京都下水道局(河川増水の場合は東京都河川局)です。区には担当部署がなく、下水道の整備箇所ぐらいは分かりますが、当時は浸水被害の可能性すら知らなかったようです。何かをたずねても「担当ではないので分らない」というだけです。
 これは下水道が区境などでは隣の区に流れるなど、複数の区にまたがる事業になるからで、東京23区の場合は区が担当するより都が担当したほうがよいからです。いずれにせよ、住民側からみれば担当が分りにくくなっています。

2)既に被災された方に対して支援を行うこと
 被害を受けたことを119番に電話すると、消防署のほうから練馬区防災課に連絡が行くことになっていて、防災課の職員が電話や訪問で、ごみの捨て方(清掃課)や消毒(衛生課)についての方法や連絡先、税金などの減免を受ける方法を教えてくれます。
 被害の連絡をしていないと、行政側では被害があったことを把握できないので、何もできません。軽微な被害でもとりあえず連絡しておいたほうがよいと思います。一般に誤解されているようですが、行政の情報収集能力・整理能力は平常時を前提とした縦割り組織のため、非常時への対応能力は非常に低いのです。
 なお、行政のほうで後片付けを手伝ったり、ボランティアを紹介するなどは行いません。あくまで自力での復旧が原則です。行政や議員などに期待をしないほうがよいと思います。そんなことで時間を浪費したり落胆していては、地区の復旧が遅れてしまいます。


下水道の逆流防止のための対策(あるいは道具)には、どのようなものがあるのでしょうか。

 逆流防止弁という簡単な装置があります。東京都の下水道局で聞いてください。何種類かあるようなので、現物か写真、または製造メーカーを紹介してくれると思います。私のマンションは、被災した後に地中に設置しましたが、水害が起きない地区の半地下構造の建物には効果があります。
 なお通常の家屋や地下室については、設置しても効果はありません。下水道の逆流が起こらないか、逆流が起こる前に地表水による浸水が起こると思われるので設置する意味がないと思います。設置の際にはメーカーや専門家と相談してください。

都市型水害に際して、地域で協力し合って対応している例を教えて下さい。

 テレビ局の人も探しているそうなのですが、都内では見つからないそうです。
 東京の場合は賃貸居住者が多いため、被害にあうとすぐに転居してしまい、地域の助け合いという感じではありません。水害にあわないための最も確実な方法は、水害がおこらない場所へ転居することで、転居者が多いのでコミュニティが醸成できないのだと思います。
 また都市型水害の場合は、河川堤防のような地域で防衛しなくてはならない箇所がなく、家屋ごとに住宅に侵入してくる水を防止するので、個人個人の対応になります。助け合うとしたら、被害家屋に対する片付けの手伝いという程度になります。


 なお2004年10月にNHKの「近所の底力」という番組で、千葉県茂原市などの市民の取り組みが紹介されていました。詳細はNHKに問い合わせてください。
しかし、あくまで軽度な水害の場合の高齢者の円滑な避難方法などであり、2004年夏に発生したような大規模な堤防決壊などの水害には役立たないと思います。水害の程度ごとに想定される行動をマニュアル化する必要があります。(これは公的機関がやるべき仕事です。今までが怠慢であった。)

道路などの浸透性舗装についてはどう思いますか。
 私の地域では水害以降、道路が浸透性舗装に順次整備されています。台風時などに観察していたところ、非常に効果があると思います。
 まず通常の舗装では、側溝の排水が追いつかず道路に水たまりができ、さらに雨が降り続くと低い場所に流れ込んでいきます。これが地下室などの水害につながっています。
 浸透性舗装の道路の場合は、そもそも水たまりができないので感心しました。側溝での排水で台風時も十分対応でき、当初は水害を心配していたのですが安心できました。

 たまたま見た石原都知事の定例記者会見でも、この浸透性舗装が水害対策としてあげられ、コストは割高だが、効果があるので都としては整備を進めていきたいとのことでした。

練馬の被災地区に関して、今後の都市型水害を予防する整備はどうなっていますか。
江古田駅周辺地区での2つの例をご紹介します。

1.西新井公園周辺からバイパス水路を地下に建設中

 西新井公園の地下から、環状7号線の地下をとおって江古田川までの区間をバイパスする巨大な地下水路を建設中です。
 総事業費10億円強。3年に1度の集中豪雨への対策です。

 ◎西新井公園の東半分が工事用地になっている。

 ◎工事概要の看板



2.江古田斎場の北側の道路下に地下貯水池の整備

 この地区には、既に地下貯水池を整備したのですが、それでもその後の集中豪雨で再度被害を受けた。そこで2つ目の地下貯水池を整備している。

◎写真左:工事の看板
 写真下:周辺の状況、急な坂になっている。




■お便りから
(2005.6.13)
さいたま市の奥山と申します。
都市型水害の防止の為に都市部に多目的な防災ダムを作る事ができれば、中小河川での水害は防ぐ事ができると思います。スペースの無い都市部で費用も掛けないでどうやって防災ダムを作りコントロールするかが問題です。
私が考えた方法は次のようなものです。
1、各家庭や事業所での空スペースに小型の雨水タンクを重層及び連結して1t〜2tの雨水を貯水し設置者はトイレ洗浄水などに常時使用できる。
(素人でも簡単に設置が可能な工法で費用も材料費だけで3〜4万円程度、行政の助成金を活用し福祉関連の自立支援事業として継続した仕事にする。)
2、各家庭や事業所に設置した雨水タンクの排水バルブは、防災センターからの遠隔操作で自動開閉が可能であり、都市部各河川の流域に合わせた区域割をし、その区域ごとに設置してある各雨水タンクを一気に操作し貯水、放水を可能にする。
これらの事は今の技術からすると簡単な事かと思います。
仮によく氾濫する河川流域に1万軒の家があり10,000トンの雨水を貯めることができれば、一回の集中豪雨時にその何倍かの雨水をコントロールができる事になります。
雨は同じ調子で降るわけではありません。天気予報で降雨前に全部のタンクを放流して空にしておきます。降雨が始まり河川の水位が危険状態になってから区域全体のタンクのバルブを閉めて河川への流入を抑えます。小降りになって河川水位が下がり始めたら区域の雨水タンクバルブを開けて放水して次の降雨に備えます。
簡単にはこの様な物なのですが、放水トンネルを作ることから比べたら費用は安く、又雨水の有効活用もできます。
この様な考えはどう思いますか?
(小型雨水タンクを連結して大量のきれいな雨水を貯める方法の特許は認可されました。又それを区域毎に遠隔操作で貯水放流してコントロールして防災するシステムも特許申請はしてあります。)

  RUN     http://www.geocities.co.jp/NatureLand-Sky/5866




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