12月19日に開催された、今年4回目の研究会の報告結果は、以下のとおりです。
テーマ 「軍事と外交」
報告者: 大木基会員(桜美林大学大学院、神奈川県日中友好協会専務理事)
「米国の原子力政策、1939−45年」
討論者: 山極晃教授(二松学舎大学)
報告者: 中村起一郎会員(立教大学大学院)
「防衛予算と日米関係」
討論者: 波多野澄雄教授(筑波大学)
場所: 慶應義塾大学三田校舎大学院棟5階
時間: 3:00−5:00
今回の報告では、軍事問題がどのように外交において取り扱われ、どのように国際関係における争点となっているのかが、一次資料をもとにして議論されることになった。
大木会員の報告では、第二次大戦中に、原子力国際管理問題がどのようにして、大国間協調の枠組みから、アメリカの「核独占」へと推移したのか、批判的な見解も込めて議論された。そこでは、米国の内部で、国際管理を求めるグループと、一国による核独占を求めるグループとの対立が生じ、結局は核独占と二重規範に基づく戦後の核管理体制が形成されたとする。しかしながら、アメリカ国内では、そもそも対ソ協力を含めた大国間協調に好意的なローズベルト大統領や、スチムソン陸軍長官、そしてボーア博士など、実際に国際管理体制を求める動きがあったことを主張する。そして結論として、今後の核管理体制は、国際管理への方向性が必要であることを主張している。
これにたいして、討論者の山極晃教授は、自身の詳細な研究を下に、ローズベルト政権の大国間協調体制への嗜好に疑問を投げかけた。というのも、既に米国の核独占の動きは、ローズベルト政権に置いてもみられており、それはトルーマン政権にはじまったわけではないとする。そして、大木会員の報告の焦点をどこにおくかで、議論の本質も変わってくると言う点を指摘した。
他方で中村会員の報告では、戦後日米関係おける最大の問題のひとつであった日本の再軍備問題と、日米間での防衛分担問題についての詳細な議論がなされた。そこでは、何故アメリカの求める再軍備に否定的な吉田茂政権に対してアメリカ政府は好意的であり、反対に再軍備に積極的な鳩山政権でアメリカが批判的であったのかが説得的に説明された。というのは、それはリーダーシップの問題であり、政党政治の問題であるとする。アメリカ政府は、鳩山のリーダーシップを日和見主義的で、ポピュリスト的であると見ていたことが明らかとされた。従って、その党内基盤の弱さ、そして個人のリーダーシップの不信をとりあげ、むしろ単に再軍備の賛否ではなく、より総合的な視点から日米関係の質が変容した点を主張する。
これに対しては、再軍備研究で優れた業績を持つ波多野澄雄教授が、幾つかのコメントを加えた。まず、再軍備の外的要因である。即ち、それは様々な他の要素によって再軍備政策が決定されたとするならば、どのような点に注目するかと言うことである。そして、さらには在日米軍削減と、防衛費削減の連動が見られたかどうかを指摘した。この防衛費問題については、他の会員からも多くの質問があがり、日米関係と再軍備問題をめぐる活発な議論が見られた。
今回の議論で明らかになったことは、報告の意義をどのように提示するか、という議論の方法、説明の方法の重要性であった。これは山極教授からの指摘でもあるが、今後より充実した討論を進めるためには、より一層の周到な準備が必要となるであろう。